こんにちは!英語学習コーチのムラカミです。
- 「英語を話せるようになりたい!」
- 「今度こそ英語を勉強しよう!」
となった時、あなたは何から始めますか?
英語の聞き流し?オンライン英会話?TOEIC?それとも文法?
あれもこれも気になって、結局何からやればいいのか分からない。
英語が出来る人の体験談を読んだりしているけど、
自分にもそれが当てはまるのか分からない。
効率よく英語を身に付けるための、勉強の順番があれば知りたい!
あなたもそんな悩みを持っていませんか?
私には自分なりに試行錯誤しながら英語力を上げることができた経験、
日本語講師として日本語を教えた経験、
英語講師として英語を教えて来た経験から
「感覚的にこうやればうまくいく!」というやり方が
私は頭の中には備わっています。
とは言え、それをきちんと自分以外の人に伝える方法がわからず
筋道立てて明確な根拠とともに誰にでも分かるように
説明が出来るようになればいいなと思っていたところ
「第二言語習得理論」という学問で私は
大人が外国語を習得するメカニズムが研究されていることを知りました。
実際、第二言語習得理論をベースにした学習法というのは
私の経験から考えてもとても納得出来るものでしたし
- 心理学
- 言語学
- 脳科学
などと連携した「科学的な研究」に裏付けられた学習法を知ることは
きっとあなたのお役に立つと思います。
ということで、今、英語の勉強は何からやれば良いのか迷っている
そんなあなたのために、私がおすすめする効果的な学習法を
ご紹介させていただきますね。
私が英語の勉強におすすめする第二言語習得理論とは
第二言語習得理論というのは、
第二言語が習得されるのはどのようなメカニズムによるのかを
言語学、心理学、脳科学などと連携しながら科学的に研究している学問です。
大人が第二言語(日本で生まれ育った日本人にとって英語は第二言語ですね)を
習得するのは、赤ちゃんが母国語を身に付けるのとは
異なるメカニズムであることが既に研究で分かっています。
例えば、子どもは丸暗記出来ても、大人は理屈に納得しないと覚えられないから
大人のやり直し英語には文法の勉強が必須など。
大人になって英語をやり直す際には
この第二言語習得理論をベースに学習を進めるのが効率的ということで
英語を教える立場の人や効率的に英語力を身に付けたいと思っている人に対し
近年注目されている学問です。
では、この第二言語習得理論で推奨されている英語を勉強する順番を見ていきましょう。
英語を勉強する初心者がカバーすべき5つのこと
まず、ワシントンDC出身で外国語教育の専門家である
セオドーレ・ヒッグス氏によると英語を習得するためには
次の「5つの要素」をカバーする必要があります。
- 単語(Vocabulary)
- 文法(Grammar)
- 発音 (Pronunciation)
- 流暢さ(Fluency)
- 社会言語要素(Sociolinguistics)
※流暢さ:流暢に話すだけでなく、流暢な英語を聞き取るリスニング能力も含む
※社会言語要素:文化と密接に関連している言語の要素。日本語では姉、妹と生まれた順番を区別するけど英語では生まれ順に関わらず「sister」と言う(生まれ順を重要視しない文化)など。
そして、5つの要素の「学習レベル別重要度」を示したのが、
「ヒッグス・グラフ」として知られる下のグラフです。
グラフデータ引用元:Best of Bilash
英語を勉強するのに効率的な学習の順番
上記ヒッグス・グラフを見ると学習の初期の段階(0~2)で重要なのは、
「単語、文法、発音」であることが分かります。
(一日に100分英語を学習するとして、単語の勉強に45分間、文法に25分間、そして発音の勉強に20分間、というイメージ)
なので「英語を話せるようになりたい!」「今度こそ英語をやり直そう!」と
思った時にまずやるべきことは、いきなり英会話のレッスンを受けたり、
聞き流すだけのリスニング教材を買ったりすることではなく
- 「知っている、使える英単語を増やす」
- 「基本的な文法を復習する」(高校1年生までの文法で十分です)
- 「正しい発音が出来るようトレーニングする」
つまり、英語の基礎力を強化することなのです。
そして、基礎力がある程度ついて来たら、単語と文法にかける時間を減らして、その分
オレンジ:流暢さ(スピーキング・リスニング)と
黄緑色:社会言語要素習得に時間をかけていくというイメージです。
楽器を習い始める時にも、弾きたい曲にいきなり挑戦するのではなく、
まずは指の動かし方や音階を練習しますよね?
そしてある程度指が滑らかに動くようになってから
自分のレベルに合った曲の練習を始めると思いますが、
英語の学習も楽器を弾く練習と同じなのです。
英語の勉強を何からどこまでやるのがおすすめか?
では次に、英語ネイティブが話していることを理解し、
自分の意見や考えを相手に伝えることが出来るようになる
(英語ネイティブと日常会話レベルで円滑なコミュニケーションが出来る)を目標とした場合に
各要素をどの程度やればいいのか項目ごとに見ていきましょう。
英単語
当然ですが、外国語を身に付ける上で「語彙」を勉強する、
単語を覚えることがまず重要です。
自分の人生や仕事に全く関係の無い難しい単語を覚える必要はありませんが、
知っている単語が増えると、スピーキングだけでなく、
リスニングやリーディングも楽になりますので
「単語を覚える努力をするのは当然」という意識で取り組みましょう。
単語を覚えるというと、中学・高校でさんざんやった
「機械的な丸暗記」のイメージがあって退屈でつまらないものと
思ってしまうかもしれませんね。
実は単語とその日本語の意味1つを機械的に覚えるというやり方ではなく
1つの単語から関連させて
- 複数の単語を覚える
- 語源を調べる
- 英英辞典を活用する、
- 例文で覚える
- 必ず声に出して覚える
など
単語の覚え方・勉強の仕方は実は奥が深くて楽しいものです。
これはまた別の記事で紹介させていただきますね。
辞書を引かずに本を読んだりニュースを聞いたりするには大体2万語の語彙が必要
(平均的なアメリカ人は4万語程度知っている)
英検1級:1万語、難関大学の入試:7~8000語
と言われています。
ですが、日常会話やTOEICは最重要語3,000語で
約90%をカバーできると言われていますので、まずはここを目指せば大丈夫です。
高校受験用の単語帳を1冊ざっと復習することをお勧めします。
また、それに加えて自分だけの「my単語帳」を作る事も効果的。
実際、家の中にあるものや職場にあるものなど
あなたはそれらを全て英語で言うことができますか?
英語でなんていうか知らないものがあれば調べてみて、
それをノートに書き留めていきます。
「ペットボトル」のように、
英語とは違うカタカナになっている和製英語もいろいろありますので
「へー、本当はこういうんだ!」と楽しみながら
自分で調べて作った単語帳は記憶に残りますし、
身近なものは日常会話で使う機会もきっとありますのでとても実用的です。
ぜひ試してみてください。
ちなみにペットボトルは英語では「plastic bottle」と言います。
あなたはご存知でしたか?^^
英文法
英文法と聞くと「難しい文法用語が思い浮かんだりして苦手!」と
あなたも思ってしまうのではないでしょうか?
実際、最近の英語の学校教育では
話す・聞くスキルの向上に力が入れられている一方
文法が軽視されているようですが、
文法というのは人間の身体で喩えるなら「背骨」のようなものであり、
ある言語を運用する上での「ルール」です。
特に、大人は子どもと違い「丸暗記」が苦手で、
理屈を理解しないと覚えられないという脳の構造上の特徴があるため、
大人の英語学習には文法の勉強が必須であることが分かっています。
といっても大学受験のような難しい文法は不要で、
中学レベルの英文法を復習すれば十分ですので
中学英文法の本を1冊、早めにやりましょう!
※TOEICに出てくる英文法も90%は中学レベル。単と語がビジネスなだけ。
私が教えていたTOEICのクラスでも、中学レベルの文法を復習することで
やっと英語の苦手意識がなくなった!という生徒さんがすごく多いですよ。
英語の発音
前述のヒッグス・グラフを見ると学習初期の段階では
総学習時間の最低でも20%を発音学習に費やすことが推奨されています。
ヒッグス・グラフを見て、あなたは意外に思いませんでしたか?
日本の学校教育では英語の発音にはほとんど力を入れられていませんが、
実は正しい発音を身に付けることは単語や文法と同様に非常に重要なのです。
日本人の多くが中学校から長年英語を勉強しても
なかなか「使える英語」を身に付けられない根本的な問題は、
学校教育が発音を無視してきたことにあると指摘する言語学者も多いです。
実際、自分が発音できない音は聞き取ることも出来ません。
逆にいうと、正確に発音が出来るようになると
リスニング力もアップするんですね。
それに加え、発音は人でいうところの「外見」にあたります。
外見が第一印象を左右するのと同じように、
同じ日本人の英語でも発音がきれいだとすごく好印象ですよね。
ですからぜひ、学習初期から発音の勉強や練習にも取り組みましょう。
今は発音の練習に気軽に取り組めるアプリもいろいろ出ていますし、
私がお勧めなのは発音する時の口の中の構造や舌の位置がわかる
図の入った本で2~3ヶ月かけて集中的に取り組むことです。
実際、私も英検1級やTOEIC960点持っているとはいえ
発音には長いことコンプレックスを持っているため
今度こそコンプレックスを払拭して
「堂々と滑らかな英語を話せるようになりたい!」と思い、
今も正しい発音の習得に取り組んでいます。
私が使っている教材などについてはまた別の機会にご紹介致しますね。
英語の流暢さ
ヒッグス・グラフを見ると、学習初期の段階では
「流暢さはあまり重要ではない」ことが分かります。
まずは単語・文法・発音の基礎を固めることが重要なのですね。
英語の基礎が固まってきたら、
流暢さを向上するための練習も徐々に始めていきましょう。
※流暢さというのはスピーキングだけのことではなく、
「流暢に話された英語を聞き取る」ことも含まれます。
流暢さを向上させるために必要なことは、
「英語を英語のまま理解出来るようにすること」です。
つまり、頭の中に英語の回路を作るんですね。
たとえば「英語と日本語では語順が違う」ということは
あなたもご存知だと思います。
- 英語:I went to a hospital yesterday.
- 日本語:私は 昨日 病院に 行きました。
これを英語の語順のまま日本語の順番に直さず、かつ
日本語にいちいち変換せず、英語を英語のまま理解出来るようになる
というのが、頭に英語の回路が出来た状態です。
これが出来ると英語を読むスピードも格段に速くなりますし、
リスニング力もアップする、、、というより、
リスニングの場合、聞こえてくる順番通りに理解出来ないと、
英語のスピードについていけませんよね?
一文を聞き終えてから意味を理解しようとすると、
意味を考えている間に話が進んでしまう「英語を英語のまま理解する」なんて、
そんなこと出来るの?と思うかもしれませんが
下記のような訓練すれば必ず出来ます。
- 音読
- サイトトランスレーション(英語を頭から読んで意味をとっていく訓練)
- シャドウイング(英語の音声を聞きながら、聞こえてくる英語をそのまま真似していく、通訳学校の訓練にも取り入れられている手法)
※音読やシャドウイングはスピーキング力の向上にもとても効果的です。
やり方などはまた別の記事で紹介しますので
この記事では「へ〜、英語の回路をつくるトレーニング方法があるんだな」
ということをまずは知っておいてくださいね。
社会言語要素
これは、ヒッグス・グラフを見るとある程度英語のレベルが上がるまでは
あまり気にする必要は無いことが分かりますが、
言葉を通してその国の文化や価値観、考え方の違いを知ることが出来ますので
個人的には外国語を勉強することの楽しさや面白さを
感じられるところだと思います。
実際、文化や価値観、生活様式、考え方の違いを知らないと、
気付かないうちにとても失礼な発言、
恥ずかしい発言をしてしまう可能性もありますので
ぜひこの社会言語要素にも興味を持って英語学習をして欲しいと思います。
例)Oh my God など
英語の効果的な勉強法まとめ
大人が英語を効率的に身に付ける学習の順番は
「第二言語習得理論」という学問で研究されている。
それをベースにした、大人が英語を学習する際の効率的な学習の順番は
- 英語の基礎力を強化する-単語・文法・発音―
- 英語を英語のまま理解する「回路」を作る-音読・サイトラ・シャドウイングー
- 実践力をつける
となります。
語学の習得はあなたが思う以上に長期戦です。
気になるものから適当に勉強を始めて成果が出る前に挫折してしまう方も多いですが
実はこうした科学的な研究に裏付けられた理論をベースに戦略的に勉強を進めることで
効率よく英語を身に付けることができますので
ぜひ正しい順番で英語の勉強を楽しんでしてくださいね。
最後まで読んでいただきありがとうございました!